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卓球鑑賞の姿勢

 卓球の中継放送は地味だとよく言われる。他の競技に比べて、動きがせかせかしているせいだろう。コートも小さいし、ピン球の動きも速いので選手があまり動かない。
 だが、卓球を観て興奮するには、選手の動きを見るだけではだめだ。音を聞かねばならない。高速回転するピン球と空気の摩擦。シューズと床の摩擦。ラケットのラバーに飲まれながらも回転し続けようとするピン球の立てるくぐもった音。選手の汗が床に跳ねる音。選手の汗が毛穴から滲み出す音。コート周りの統一感のない応援。
 コッコッコッさっフッ……しゅしゅしゅるふしゅるふしゅふしゅるキュッカンコッコッだだんカコッコッキュッぴちょんジュルohという音を聞いて、これと映像を合成した上で興奮するのだ。

 ところで卓球選手の間では、独自の言語が使われる。卓球語と呼ばれるこの言語は語彙が少ないことで有名だ。単語数は1。「さ」の一語のみである。気合を入れるために発音されることが多いが、たいてい相手の顔を見ながら言う。ときにガッツポーズとともに使用し、相手を威嚇する。体験談だが、ミスをしたときに相手にこれを言われると正直かなりかちんとくる。超むかつく。ミスを連発すると言われまくりなので、もう泣いて家に帰りたくなる。押入れに入って出てこなくなる。書き置きを残して帰らぬ人となる。もちろん、むかついているようでは一流の選手ではない。
 かなりの泣き顔である福原愛選手の「さ」は元気がよかった。これなら言われてみてもいいと思う。言われても泣かないと思う。ベスト8には届かなかったがまだ若い選手だ。今後も応援したい。

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