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2006年3月の記事

鼻キャップ

 東京に出てきた頃、テレビを見ていてはたと気づいたことがあります。
 芸能人の鼻腔脇が妙に光っているということです。

 私はそのとき、芸能人は何やら透明な器具を鼻に装着しており、生放送で鼻水が流れ出ないようにガードしているのだと考えました。そんな器具が市販されている話は聞いたことがないので、東京は新しいものを取り入れるのが早い町だなと感心したものです。

 それからというものの、テレビに出てくる芸能人の鼻の穴周りが等しく光って見えるようになりました。鼻キャップ(仮称)を装着しながら、いつもの演技をし、笑顔を見せてくれる芸能人を見て、東京の人は物事に慣れるのが早いなあと感心したものです。

 このことを知り合いに話すと、知り合いは「あ、そう」とあまり興味がない様子で、この前ふらんす亭のチーズたっぷりカレー830円を食べたよと話しはじめました。黄金色のチーズのかかった黒味を帯びたカレーをさじですくったところチーズがさじに絡まり、伸ばしてちぎろうと右手を高くつきあげるもちぎれず、テーブルの前で小ジャンプを繰り返すもちぎれず、普段から納豆チーズカレーが大の好みでどんなネバネバにもへこたれることのない知り合いが、このときばかりはあまりのネバネバさ加減に文字通りさじを投げかけたということでした。

 何の話をしていたか一瞬見失いましたが、もう大丈夫です。
 ある日、町の薬局をまわって、鼻キャップ(仮称)を探してみることにしました。知らないうちに市販されていたなんて可能性もないとはいえません。何といっても流行を取り入れるのが早い町なのです。
 影が伸びて日が落ち、犬が遠吠えを始めるまで歩きまわりましたが、めぼしい情報は得られずじまいでした。行く先々で1日2回で効く鼻炎カプセルをすすめられましたが、そのたびに「恐縮ですが」と右手をかざしながら断りました。

 とぼとぼと帰る道すがら、停まっていた黒塗りの車から強面の男が二人降りてきて、道をふさぎました。得意のフェイントで間を抜けようとしましたが力及ばず、その場に組み伏せられました。車から最後に降りてきた女のハイヒールのかかとの音が聞こえ、「余計なことに顔出すといいこたないよ」しゃがれた声とタバコの灰が落ちてきました。「鼻に器具なんてついちゃいない、テレビの粒子、光の当たり加減でそう見えるだけなのさわかったかい」このあと少し記憶が途絶えるのですが、最後に私が繰り返しうなずいたとき「いい子だ。いくよ」そう話す女に続いて2人が私を離して車に乗り込み、車が急発進して見えなくなったことは覚えています。

 この日私は、こんな怖い目にあうのなら、もう鼻キャップのことを考えるのはよそうと思いました。そして、女が話していたように、テレビの粒子や光の加減でそう見えているだけなのだと思い込むことにしました。

 でもこうして花粉の季節が巡ってくると、鼻キャップのことを思い出してしまうのです。

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[FF]ガンビット設定

 1週間このガンビットを起動しててわかったのだが、非常に体に悪いガンビットだ。 出勤日には4はたぶんON。

( 1 ON もし「空腹でふらふらする」なら (>リッツ一箱
( 2 ON もし「空腹でふらふらする」なら (>メロンパン
( 3 ON もし「空腹でふらふらする」なら (>チキンラーメン
( 4 OFF もし「今家出ると遅刻」なら (>慌てて家を出る(超ダッシュ)
( 5 OFF 電話着信・来客 (>応答
( 6 ON 目の前のFF XII (>たたかう

 ガンビットはファイナルファンタジーXIIでキャラクターを自動操作させるためのスクリプトで、条件部分を買い集めて次第に自分の思うように動かせるようになる仕組み。XIIは戦闘部分の出来が素晴らしいので、シナリオの「行き当たりばったり感」「手のひらで踊らされてる感」を差し引いても楽しめます。

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「Show must go on」 Queen

 フレディーの死を意識する詩の多い1991年のQueenのアルバム「Innuendo」で、とりを務めるのがこの曲。
 初めてこの曲を聴いたとき、ストリングスによる厳かなイントロが耳に入った瞬間から、涙が止まらなかった記憶があります。部屋中が水浸しになり、階下に住む奥さんから苦情の電話が入ったほどです。
 暗く重過ぎるテーマを、何かに急かされているような、一瞬も息をつかせない展開で歌い進め、「続けなければ、進まなければ」という痛々しい叫びが余韻を残して消えていく終わり方は、この曲がQueenの最後の作品であることが間違いないと思わせ、涙を流させたものです、止まらないほどに。部屋中が水浸しになり、階下に住む奥さんとその飼い犬から苦情の電話が。それだけに、次のアルバム「Made in Heaven」が発表されたときの喜びは忘れられません。
 元々演劇味の濃い曲ですが、ミュージカル映画「ムーラン・ルージュ」では、Anthony Weigh、Jim Broadbent、Nicole Kidmanによる、より演出がかった豪華なミュージカル版アレンジを聴くことができます。

 自家製歌詞和訳。人生を舞台に見立てた、いくつもの比喩表現が出てきます。

Show must go on  by Queen

無意味な空間 我々は何のため生きているのか
打ち捨てられた地 誰もが真相を知っているはずだ
時間をかけて、我々が探しているのは何なのか…
英雄は再来し、愚かな罪は繰り返される
秘密裏に、何も口にせずに
待ってくれ、まだ耐えたいと思うものはいるのか
見せ掛けの演技を続けねば
演技を続けねば
心の中は張り裂けそうだ
化粧がはがれ落ちるかもしれないけど
ぼくは微笑みつづける
何が起きても、ぼくはすべてを運にゆだねる
苦悩は再来し、失恋は繰り返される
時間をかけて、我々が探しているのは何なのか?
ぼくは悟ろうとしている、もう少し近づかねば
もうすぐ角を曲がって、先にあるものが見えてくる
夜が明けようとしているのに
闇の中でぼくは必死に逃れようとする
演技を続けねば
演技を続けねば
心の中は張り裂けそうだ
化粧がはがれ落ちるかもしれないけど
ぼくは微笑みつづける
ぼくの心は蝶の羽根のような偽りの色
昨日の作り話は広まっても消えることはない
ぼくは飛べるんだ 友よ
演技を続けねば
演技を続けねば
ぼくは笑顔で出ていく
決して屈することはない
演技を
主演をつとめて、やりすぎだといわれるほどやる
続ける目的を見つけなければ
見せ掛けの
演技を
演技を続けねば

*Queen "Show must go on" iTunes Music Store

*Anthony Weigh, Jim Broadbent & Nicole Kidman
(Moulin Rougeサウンドトラック) iTunes Music Store

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「Who wants to live forever」 Queen

 1986年6月に発表されたQueenのアルバム「A Kind of Magic」に収録、邦題は「リヴ・フォーエヴァー」。映画「ハイランダー―悪魔の戦士―」のために書かれた曲で、首が切られない限り命が絶たれることのない主人公の、スケールが大きすぎて共感できかねる悩みを、静かな、慎重な歌いだしからオーケストラとともに歌い切っています。歌詞は映画の設定べったりではなくて「生きること」の意味を問う普遍的なものになっています。

 アルバムのラストには、同曲をボーカルなしのシンセサイザーとピアノでまとめた版も収録されています(「Forever」)。

 それはそうと、AppleのiTunesをうっかりダウンロードしたらMusic Storeのブラウジングが楽しくてしかたがなく、徹夜で4時間もブラウズしまくってしまいました。iTunesのダウンロードとMusic Storeにある曲の試聴・検索は無料なので、こんなおもちゃが学生時代にあれば、ブラウジングしまくって授業に出なくなっていたはず。でも、こんなおもちゃは学生時代になかったのに授業に出なかったのはなぜか。なぜなのか。

 難しいことは明日考えるとして、この曲は複数のアーティストがカバーしているようで、原曲をご存知であればこちらも楽しめるはず。Music Storeのおかげで、カバー曲1曲のために知らないアーティストのアルバムを買うようなことはなくなりそうです。
 とMusic Storeの宣伝じみた書き方してますが、実際のところ以下のリンク先はすべてUS版のStoreのものなので購入はできず、30秒の試聴どまりなのです。日本のMusic StoreはQueenのアルバムですら全部置いていないありさまなので、早いとこ揃えていってほしいところ。
 Sara Brightman版。
*Sara Brightman "Who wants to live forever" iTunes Music Store

 Dune版。日本のStoreで買えたので買ってみたけど、なんだか最後まで大人しい。癒される。
*Dune "Who wants to live forever" iTunes Music Store

 Marshall & Alexander版。30秒で途切れるとむかつきます。
*Marshall & Alexander "Who wants to live forever" iTunes Music Store

 次はQueenのトリビュートアルバムから。USの店にだけこんなのがおいてあるとはずるいのです。
*Breaking Benjamin "Who wants to live forever" iTunes Music Store

 最後は2005年夏に日本にも来ていたQueenの楽曲を使ったミュージカル「We will rock you」の中で歌われたバージョン。
*Ben Elton & Queen "Who wants to live forever" iTunes Music Store

 ※ ※ ※

 国内版アルバムには内田久美子さんの対訳がつけられていますが、例によって自分で訳したものを載せておきます。一部大幅に訳が違ったりします。

Who wants to live forever  by Brian May

ぼくたちに時間はない ぼくたちに居場所はない
夢を創りだすものも、いずれ消え去ってしまう

永遠になんて生きたいものか 永遠になんて生きたいものか
ぼくたちにチャンスはない 運命は決まっていて、
愛しい時はこの世にただひとつしかない

永遠になんて生きたいものか 永遠になんて生きたいものか
永遠になんて愛したいものか 愛は必ず消えるものなのに

だけど君の唇でぼくの涙に触れてほしい
君の指でぼくの世界に触れてほしい
そうすれば永遠にいられるようになる
そうすれば永遠に愛せるようになる
今日こそが永遠さ
永遠になんて生きたいものか 永遠になんて生きたいものか
今日こそが永遠さ 永遠になんて待ちたいものか

 ※ ※ ※

 原曲。こちらは日本のMusic Store。
*Queen "Who wants to live forever" iTunes Music Store

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「Don't try so hard」 Queen

 1991年にQueenが発表したアルバム「Innuendo」に収録されており、作詞作曲ともにQueen。
 始めに聴いたとき、短いイントロに続いてフレディーの声が耳に入ったとたんに涙が出てしかたがなかった記憶があります。しょっぱなから、あのフレディーがめそめそしているのです。特に「世界が美しいこと」と対比して「自分の命がひとつしかないこと」を再認識するくだりは、ブライアンを巻き込んで大泣きになり悲しい。1991年11月にフレディーはエイズによる感染症で他界しますが、この曲が発表されたときすでにフレディーが自分の死を悟っていたとは露知らず、歌詞の意味ががらりと変わり面食らった曲でもありました。フレディーは亡くなる年においてもまだ、次のアルバム「Made in Heaven」に入るべき曲の収録を進めていました。この曲の「一瞬を大事に生きるんだ」「すべてを深刻に受け止めることはない」といったメッセージは、最後まで全力疾走したフレディーが自分自身に送ったものでもあるようです。

 以上、思いつきで古い曲のレビューをしてみました。バファリンの半分がやさしさでできているとすれば、あっしの人生の半分は思いつきでできています。

 国内版のアルバムにはKuni Takeuchiさんの対訳が付いてますが、自分で訳したのを載せてみます。原詞とあわせて対訳にしたかったんですが、そのまま載せるとあれなのでやめときます。上級曹長の例え話が訳しにくくて一苦労。韻を踏んだきれいな詩になってるので、ここは訳せるような意味はないのかもしれません。

Don't try so hard  by Queen

 何かを探してるなら そんなに懸命にならないで
 無力を感じたなら そう懸命にならないで
 問題が山積みなときにも 問題の答えがほしいときにも
 別の日に持ち越してもいい
 そんなに懸命にならないで
 つまづいて倒れたとしても 大したことじゃない
 失敗してもブツブツ言うもんじゃない 幸運の星に感謝しよう
 口に入るものすべてを楽しんで 一瞬一瞬を大事にしよう
 怒り狂う嵐に巻き込まれても いまいる場所にとどまろう

 ねえ、そんなに懸命にならないで
 ねえ、すべてを背負い込まないで
 ただの愚か者だ、こんなルールを作ったのは
 そんなにがんばらないで そう懸命にならないで

 上級曹長になった日には
 きっとひどい命令を出すことに 満足するのかもしれない
 待って、でもそんなに大声を出さないで
 見た目だけ着飾ったまま 輝くボタンを磨いていればいい
 だけど傑出するための努力なんて しようとする必要がなかっただろう

 ああ、何て美しい世界
 これが私の命なのか
 何て美しい世界なんだ
 ただひとつの私の命

 ねえ、そんなに懸命にならないで
 ねえ、すべてを背負い込まないで
 ただの愚か者だ、こんなルールを作ったのは
 そんなにがんばらないで そう懸命にならないで

 ※ ※ ※
*Queen "Don't try so hard" iTunes Music Store

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